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検査紹介

豊郷病院精神科OTでは、患者さまの持っておられる力や特徴をさまざまな角度からは適切に把握するために、検査をさせていただくことがあります。検査は質問紙検査と作業検査に分けられ、ここでは作業検査の一部をご紹介します。


① 統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)

 この検査は、元々は統合失調症を持つ患者さまの認知機能を評価する6つの検査で構成される実用的な評価尺度ですが、気分障害を持つ患者さまにも使用されています。この検査では、言語性記憶、ワーキング・メモリ、運動機能、注意、言語流暢性、および遂行機能の領域を評価します。所要時間は約30分で、統合失調症を持つ患者さまの認知機能を幅広く簡便に評価できる検査です。

② 厚生労働省編 一般職業適性検査(GATB)

 この検査は、さまざまな職業分野で仕事をする際に求められる、代表的な適性能を測定、数値化することにより、求職者がより望ましい職業選択を行うための情報提供を目的として作成されたもので、ハローワークで職業適性を調査する際にも利用されることがあります。検査は紙筆検査と器具検査に大きく分けられ、紙筆検査は45~50分、器具検査は12~15分程度で実施されます。測定できる適性能は知的能力、言語能力、数理能力、書記的知覚、空間判断力、形態知覚、運動共応、指先の器用さ、手腕の器用さ、の9つです。

③ 遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)

 元々は脳血管障害や頭部外傷の患者さまをターゲットに開発されましたが、精神障害や発達障害の患者さまへの利用も論じられています。この検査では従来の検査バッテリーでは不十分だった遂行機能の障害を、種々の問題解決課題を組み合わせて、総合的に評価できるように作成されています。所要時間は40分程度で、6つの下位検査と1つの質問紙から構成され、24点満点で採点されます。

④ 箱づくり法検査(MABOT)

 この検査は、作業療法士と患者さまによる1対1の作業面接場面を設定し、説明とオリエンテーションののち、実際に箱を作成してもらい、最後に言語的な面接を行う一連の場面から構成されています。43項目の行動観察リストをもとに、結果は4つのグラフで表示され、作業能力やパーソナリティの特徴を導き出すことができます。はじめは主として統合失調症の患者さまを対象として開発されましたが、現在では発達障害や高次脳機能障害の患者さまなどにも使用され始めています。

⑤ ベッカー職場適応尺度(BWAP2)

 元々は知的障害をお持ちの方が就労するうえでどのようなことが課題となっているかを評価するものでしたが、その後改定され、知的障害のない自閉症スペクトラム症の患者さまの就労上の課題を見出すことができるものになっています。この検査は検査場面があるわけではなく、日ごろのご様子を観察して評価してくため、比較的短時間で相対的に評価できます。評価項目は仕事の習慣・態度、対人関係、認知能力、仕事の遂行能力の4つです。