グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム  > 診療科・部門紹介  > 医療技術部  > 臨床工学科

臨床工学科

 臨床工学技士はCE(Clinical Engineer)と呼ばれ、医療機器の進歩に伴い、医学的、工学的な知識を持つ専門職が必要となったためにつくられた医療職です。病院には数多くの命を守る装置が日々活躍しています。これら装置は近年複雑かつ、高度なものになってきています。臨床工学技士は、医師や看護師や各種の医療技術者とチームを組んで生命維持装置の操作などを担当しています。また、医療機器がいつでも安心して使用できるように保守・点検を行っています。


豊郷病院における臨床工学技士の業務紹介!

呼吸療法認定士取得者3名 血液浄化専門臨床工学士1名 透析技術認定士1名

 当院の臨床工学技士は2023年8月現在6名で業務を行っています。主に呼吸療法、人工透析・各種血液浄化(アフェレーシス)、機器管理、睡眠時無呼吸症候群、InBody(体成分分析装置)、内視鏡センター等の業務を行っています。また、医療機器安全管理に関する業務も兼業しています。もちろん、上記にない業務・機器も随時可能な限り当科で請け負っています。

急性血液浄化・慢性維持透析業務

急性血液浄化とは

 急性血液浄化療法とは、血液中に存在する病因物質を除去、もしくは不足している物質を補うことで、血液の成分を調整する治療のことを言います。一時的に腎機能障害が著しく悪化した場合、それによって本来排泄されるべき物質が体内に蓄積し尿毒症という身体全体の合併症を引き起こします。血液浄化療法を用いて尿毒症を起こす物質を除去し、全身状態を維持しながら腎臓病の治療を行うのが、急性血液浄化療法です。

慢性維持透析とは

 腎不全となった患者さんに、体外循環技術を利用して、体内に溜まった老廃物や余剰な水分を除去することができる治療法です。通常、血液の出入口であるシャントを作製した前腕に針を2本刺し、血液を取り出す回路(動脈側血液回路)と血液を体に返す回路(静脈側血液回路)を接続します。血液ポンプによって導き出された血液は、透析器(ダイアライザ)を通り、ここで血液中の老廃物や水分が除去され、体内に返されます。この一連の流れを4時間続けることによって、老廃物や水分が正常な血液に近い値となって1回の透析を終了します。血液透析(HD)以外にも、さまざまな透析を行っています。

血液浄化療法の臨床工学技士の仕事

急性血液浄化療法種類
・血液濾過(HF)
・血漿吸着(PA)、直接血液灌流(DHP)
・血液透析濾過(HDF)
・単純血漿交換法(PE)
・二重膜濾過血漿交換法(DFPP)
・連続的血液濾過透析(CHDF)
慢性維持透析
・透析装置の準備
・透析装置への回路の装着
・穿刺の準備
・穿刺
・透析装置の操作、設定
・透析中の状態観察
・透析終了時の透析装置の操作
・透析終了時の針の抜針
・シャントエコー
・透析装置の洗浄

医療機器業務

院内で使用されている医療機器の修理・点検、人工呼吸器の管理、回路交換、患者監視モニターの使用状況把握などの業務を行っています。また、医師や看護師、その他医療従事者を対象とした、機器に関する勉強会・研修会なども行っています。主に行っている研修会は人工呼吸器、AED、輸液ポンプ、シリンジポンプ等、又、新規導入になった医療機器は随時行っています。当院の臨床工学技士は、メーカーの講習を受け、院内で修理できる体制を整えています。
機器関連の臨床工学技士の仕事
・医療機器の管理
・医療機器の点検
・医療機器の修理
・医療機器の研修会
・AEDの点検、除細動器の日常点検

呼吸療法・人工呼吸器業務

 人工呼吸器は、呼吸機能を代行する生命維持管理装置であり、装置の異常や人工呼吸回路の誤接続は直ちに患者様の生命に係わります。臨床工学技士は、使用前点検として装置への人工呼吸回路のセッティング、使用後の終業点検、定期的に行う5000時間毎の部品交換と点検(校正)を確実に行うことによって人工呼吸器の信頼性を維持し、安心して患者さんに使用できるよう管理を行っています。使用中の安全管理としては、人工呼吸器使用中の患者様のベッドを巡回し、点検リストをもとに人工呼吸器の使用環境と動作状況、設定条件と実測値の差を確認し、呼吸器が安全に使用できているか、異常はないかを点検しています。
 

呼吸療法、人工呼吸器の臨床工学技士の仕事

  • 人工呼吸器のセットアップ
  • 人工呼吸器の回路交換
  • 人工呼吸器の保守点検
  • 院内の人工呼吸器のラウンド
  • 人工呼吸器の安全管理対策
  • 人工呼吸器の安全管理対策
  • 人工呼吸器の研修会開催
  • 人工呼吸器メンテナンス
  • 酸素流量計の点検

注目のHFNC(ハイフローネーザルカニューラ)療法

COVID-19にも有効

ハイフローネーザルカニューラとは、ネーザル(鼻)カニューラを使用した高流量酸素投与
システムです。ハイフローネーザルカニューラは多量の酸素を投 与して呼吸器の粘膜が傷
つかないように、人工呼吸器用の加温加湿器 を経由して酸素を投与する優れも
の 、 豊郷 病院では 4 種類のHFNC機器があります。

HFNCの効果

• 高流量の酸素を流すので、気道中に残っている呼気を洗い出して、死 腔(気道のう
ち血液とガス交換を行わない部分)を減らす効果があり、 呼気の再吸入がない。
• 流す酸素濃度とほぼ同等の吸入酸素濃度( FiO2 )に設定できるため、患者は設定し
た酸素量そのままを吸引できる。(酸素濃度は 20 100 %まで設定可能
• 鼻に着用するため、会話や食事が可能。患者の QOL の維持ができる。
• 高流量の酸素を流すため、口を閉じて吸入すると 軽度の PEEP (呼気終末陽圧 効
果がある。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)に関する業務

 豊郷病院は県内でも数少ないPSG解析での睡眠時無呼吸症候群の治療を行っている病院です。睡眠時無呼吸症候群は読んで字のごとく「睡眠時」に「無呼吸」状態になる病気です。英語ではSleep Apnea Syndrome(SAS)と書きます。「無呼吸」とは10秒以上の呼吸停止と定義され、この無呼吸が1時間に5回以上または7時間の睡眠中に30回以上ある方は睡眠時無呼吸症候群と診断されます。

睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数と呼び、この指数によって重症度を分類します。なお、低呼吸(Hypopnea)とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を指します。

重症度分類

軽症 5 ≦ AHI <15
中等症 15 ≦ AHI < 30
重症 30 ≦ AHI

睡眠時無呼吸症候群の臨床工学技士の仕事

・PSG解析(自動解析)
・携帯用睡眠時無呼吸解析装置(SAS-2100、DS-M)の解析
・持続的陽圧呼吸器(CPAP)用ソフト(Auto Scan、encore pro)による解析
・種々の持続的陽圧呼吸器(CPAP)の保守点検操作。使用方法の説明
・CPAP導入
・ネムリンク装着
ネムリンクとは→。携帯電話網を利用することで、機器の稼働状況などのデータを簡単にサーバに自動送信できるすぐれもの!

InBody(体成分分析装置)

 InBodyの検査目的は、栄養状態に問題がないか、体がむくんでいないか、身体はバランスよく発達しているかなど、様々な分野で活用するために測定しています。当院では主に、透析患者さんの理想体重の計算、人間ドックでの体成分分析と前回結果との診断比較、栄養士による栄養状態の確認などに使用しています。

内視鏡センター

 内視鏡とは、口や肛門から細長いカメラを挿入し、直接胃の中や腸の中を診察、治療を行う医療機器です。内視鏡を直接操作するのは医師ですが、臨床工学技士も内視鏡業務に携わっています。

 近年臨床工学技士のタスクシフトという試みが施行され、臨床工学技士の業務の多様化が行われています。当院の臨床工学科でも積極的にタスクシフトへの試みを行うことになり、2024年度より新たに内視鏡に携わることになりました。

 内視鏡センターでの臨床工学技士の業務は主に機械面を担当し、内視鏡の装置点検、内視鏡の洗浄、内視鏡の保守管理等をメインで行い、また今後は医師の助手として、内視鏡下で検体採取や治療の介助を行っていく予定です。
内視鏡センター業務内容
・洗浄機の準備(始業点検、薬液補充、洗剤補充、アルコール補充、チューブ接続)
・スコープの準備(本体チェック、CO2送気機器チェック、吸引チェック)
・消耗品チェック(デバイス)
・Dr介助(デバイス介助、スコープ補助)
・スコープ洗浄(吸引口ブラシ掃除、洗浄機セット、漏水テスト、濃度チェック)
・終業業務(機器の片づけ、スコープの片づけ、洗浄機の片づけ)